育種学雑誌
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AFLPによるアジアクリ品種の遺伝的変異の解析
山本 俊哉島田 武彦壽 和夫守本 裕美子吉田 雅夫
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1998 年 48 巻 4 号 p. 359-363

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抄録

日本原産と朝鮮半島起源のニホングリ(Castanea crenata)の品種識別・類縁関係およびニホングリとチュウコクグリ(C. mollissima)との関係を明かにするために,クリ24品種を用いてAFLP(Amplified Fragment Length Polymorphism)分析を行った。9プライマー組合せを用いてAFLP分析を行った結果,合計で271本の増幅フラグメントが得られ,うち約60%にあたる165本が品種間で多型を示した。供試品種すべてを少なくとも14以上のバンドの差異で識別することができた。またいくつかの品種では,その品種を特異的に識別可能なフラグメントが得られた。得られた多型をもとにUPGMA解析を行った結果,日本原産のニホングリ栽培種が自生種とされるシバグリと同じグループに分類された。一方,朝鮮半島由来のニホングリは,日本のニホングリと比較して,かなり大きい遺伝的多様性を持つことが明らかとなった。これらの結果から,日本のニホングリ品種が遺伝的に近い集団であることが明かとなり,さらにシバグリが栽培品種の起源である可能性または両者が同一起源である可能性が示唆された。

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