抄録
要旨 近年ではネーミングと音の印象や語感に関する研究が増えてきている。一方、ネーミングに個性的なデザインを施したものがロゴタイプであるが、音声の印象をデザインや図形に結び付けた研究は少ない。文字の持つ音声のイメージを頼りにして図形化を行うことによって、図形の組み合わせによる文字情報にはない視覚的イメージの提供や、可読性が伴わないマークやシンボルへの展開および非言語によるコミュニケーションツールへの足掛かりになる可能性も考えた。そこで本研究では、音声学に含まれる音象徴を利用し、五十音の音声の印象を活かした図形を作成することを目的とした。音象徴とは「語感のより詳細な感覚を表すもの、音の与える印象のこと」である。本論では日本語を構成する五十音の音象徴を専門家による論文や書籍からまとめ直し、図形から生じる印象と音象徴とを結び付け、「ア」から「ワ」までの44文字の図形化を行った。