抄録
要旨 本研究は、具象系彫刻作家である佐藤忠良〈1912-2011〉の、児童・生徒を対象とした鑑賞教育観を明らかにし、その現代的側面を検討した。現代美術社が出版した小学校図画工作科、中学校美術科、高等学校芸術科(美術)・美術科の検定教科書中の、佐藤の署名が在る鑑賞教材本文を、定性的コーディング分析を援用し分析した。その結果と佐藤の教育理念とを照らし、彼の鑑賞教育観を見出した。それは以下のとおりである。「児童・生徒自身が作品と対話することを目指し、佐藤による作品解釈や作家観を伝える。そして児童・生徒が、作品の色や形から優しさ・苦しみ・愛・真実・美などに気づいたり、その気づきを活かした制作表現に繋げるため、佐藤が作品に捉える、自然を畏敬する表現、人が生きる美しさの表現を伝える。」これらの現代的側面を以下3点挙げた。1点目は「教師の作品研究を助ける」こと、2点目は「作品の記述や知識指導についての示唆となる」こと、3点目は「対話型鑑賞教育を再考する契機となる」ことである。