JSBi Bioinformatics Review
Online ISSN : 2435-7022
総説
高解像度オミクスデータの深層生成モデルによる生体システムの解析
小嶋 泰弘
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ジャーナル オープンアクセス HTML

2025 年 6 巻 1 号 p. 41-50

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抄録

生命活動を支配するシステムの全貌解明は、生命科学の究極的な目標の一つと言える。現在、一細胞、空間オミクスの発展により、特定の生命活動コンテキストにおける現象の網羅的な写像を得ることができるようになってきた。これらからその背後にある生体システムを同定する上で、深層生成モデルが注目を集めている。本総説では、まず、生成モデルが生体システムの同定になぜ有用なのか、並びに、その限界を深層生成モデルがどのように拡張するかを、細胞の遺伝子発現を生成する低次元の因子、細胞状態の推定問題を通して概説する。次に、細胞状態ごとの摂動に対する応答の予測、確率的ダイナミクスの推定、空間オミクスに対する微小環境の状態学習を通して、次元削減に留まらない、深層生成モデルの応用可能性を示す。最後に、さらなるオミクス技術、深層学習技術の発展が、高解像度のオミクスデータに対する深層生成モデルに何をもたらすのか、その展望を述べる。

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© 2025 日本バイオインフォマティクス学会

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