JSBi Bioinformatics Review
Online ISSN : 2435-7022
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Primers
総説
  • 古井 海里, 大上 雅史
    2026 年7 巻1 号 p. 15-30
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
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    自然言語処理分野で成功した大規模言語モデル(LLMs)の技術をタンパク質配列に適用したタンパク質言語モデル(pLMs)が、近年急速に発展している。従来のpLMsは主にスケーリング則に基づくモデルサイズの拡大による性能向上に依存していたが、配列情報から得られる知識の限界や、計算効率の問題、特定のタスク・ドメインへの適用が難しいといった実用化における障壁があった。本稿では、立体構造や進化情報を統合するマルチモーダル化、Mambaを始めとする計算効率に優れた新規アーキテクチャ、およびParameter-Efficient Fine-Tuning(PEFT)やドメイン特化モデルなどの最新のpLMs技術を取り上げて概説する。また、立体構造予測や変異効果予測などの個別の応用においてこれらの技術がどのように貢献しているかを紹介し、今後の創薬や治療薬開発への展望を議論する。

  • ―第8回 生存時間解析―
    露崎 弘毅
    2026 年7 巻1 号 p. 31-41
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
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    生命科学分野で取得されるデータ集合は、雑多(ヘテロ)な構造になり、ヘテロなデータ構造を扱える理論的な枠組みがもとめられている。本連載では、汎用的なヘテロバイオデータの解析手法である行列・テンソル分解を紹介していく。第8回では、イベント発生の時系列性に関する解析である生存時間解析と行列・テンソル分解の関係性について議論する。

  • 中川 恒, 河野 暢明
    2026 年7 巻1 号 p. 42-57
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
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    非モデル生物研究は、多様な生命現象を一般化して理解することや、種や系統特異的な現象を分子レベルで説明する観点で重要だが、その前提として参照ゲノムの整備が欠かせない。ロングリード技術の普及やアセンブラの発展により、反復配列や高ヘテロ接合を含む非モデル真核生物でも研究室単位でde novoゲノムアセンブリが現実的となった。本総説は、ロングリードおよびショートリードからドラフトゲノムを構築する実務手順と代表的ツールを整理する。さらにクモ類ゲノムを用いたアセンブリ実例を示し、ゲノム特性と計算資源に基づく設計指針を議論する。

  • 織田 遥向
    2026 年7 巻1 号 p. 58-66
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
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    近年、医学分野では大規模データの公開が進み、多くの研究者がデータ解析手法の開発を実施できる環境が整ってきている。多様なモダリティのデータを理解し、それらの関連を明らかにする解析手法は、基礎から臨床まで幅広い医学的知見の礎として需要も高い。特に腫瘍領域において、遺伝子発現データと病理組織画像データは疾患の特徴を反映する代表的な情報源であり、多くの医療機関で取得されるデータである。本稿では、これら二つのデータ解析に関わるいくつかの解析基盤を、発想や基本的枠組みに着目して概説する。手法がどのような考え方から生まれてきたかを知ることで、新たな解析手法を開発するための一助となることを期待する。また、腫瘍サブタイプ分類や予後予測など、手法が活用される例にも触れ、腫瘍領域における解析手法開発の可能性を展望する。

  • ―MAFFTから遺伝幾何へ―
    三澤 計治
    2026 年7 巻1 号 p. 67-77
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
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    本総説は、アラインメントソフトウェアMAFFT開発の背景と、そこから得られた数学的発想の広がりをまとめたものである。著者はDNA配列に潜む周期性からFFTを用いた相互相関計算を着想し、この方法がMAFFTの高速化に取り入れられた。MAFFTの基礎には、配列を数値ベクトルとしてFourier基底上で扱う発想があり、これはアミノ酸スコア行列のPCA、塩基置換行列のHadamard基底による対角化など、他の生物情報解析とも共通している。さらに、遺伝的多様性解析におけるPCAや距離行列の構造も、内積空間・線形代数学の枠組みで統一的に理解できる。著者はこれらを「遺伝幾何」と位置づけ、配列・進化・多様性を幾何学的に扱う視点の有用性を強調する。この考え方は、AIモデルにおける埋め込み表現や位置符号化などの表現学習の枠組みとも数学的に親和性が高く、今後の発展が期待される。

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