2026 年 7 巻 1 号 p. 8-14
ウイルス感染症の制御が難しい大きな理由の一つは、ウイルスが進化・多様化し、その性質を急速に変化させる点にある。現在、AI技術の著しい発展とウイルスゲノムデータの大規模化の恩恵を受け、ウイルスの遺伝型と形質の関係性をモデル化し、ウイルスの流行・進化予測に応用するという新たなパラダイムが急速に切り開かれつつある。本稿ではこの新たなパラダイムについて、著者・伊東らが開発したSARS-CoV-2の適応度を予測するAI「CoVFit」および季節性インフルエンザウイルスの抗原性を予測するAI「PLANT」を例に紹介する。
タンパク質の遺伝型と形質の関係性を紐解くことは生命科学および生命情報科学における究極の目的のひとつである。タンパク質の精緻な遺伝型-形質モデリングが可能となれば、新規タンパク質の性質を配列情報のみに基づき予測できるようになるだけでなく、特定の機能を付与した人工タンパク質を設計できるようになる。ゲノム配列決定技術、ハイスループット形質測定技術、およびAI技術の指数関数的な発展により、このような遺伝型-形質の双方向モデリングが現実のものとなりつつある。
COVID-19パンデミックを契機に、ウイルス学はゲノムデータが最も豊富な生命科学分野の一つとなった。ウイルスのゲノム配列決定に基づく疫学調査(ウイルスゲノム疫学調査)が大規模に実施され、これまでに1,600万配列以上のSARS-CoV-2ゲノムが、採取日や採取場所などのメタデータとともにGISAIDデータベース(https://gisaid.org/)に公開されてきた。さらに、Deep Mutational Scanning(DMS)などのハイスループット実験により、ウイルスタンパク質の形質と遺伝型の関係に関するデータも急速に蓄積している[1]。これらのビッグデータと、タンパク質言語モデルなどの最先端AI技術を活用することで、ウイルス学は遺伝型-形質モデリング研究の最前線のひとつとなりつつある[2, 3]。
ウイルス感染症の制御が難しい大きな理由の一つは、ウイルスが進化・多様化し、その性質を変化させる点にある。実際COVID-19パンデミックでは、細胞への感染性や免疫逃避能を上昇させ、適応度(流行拡大能力)を上昇させた変異株が次々と出現したことで、流行の制御が困難となった。ウイルスタンパク質の精緻な遺伝型-形質モデリングが可能となれば、新たに出現した変異株の性質・リスクを、労働集約的な実験を行わず、ウイルスゲノム疫学調査から直接推定することが可能になる(図1)。例えば、変異株の抗原性を予測することで、免疫逃避株の出現を即座に同定することが可能となる。加えて、変異株の適応度を予測することで、今後流行を拡大する可能性の高い株(次期流行株)の出現を即座に同定できるようになる。さらに、形質予測とは逆に、特定の形質、例えば任意の抗原性を付与したウイルスタンパク質配列を設計する生成AIを開発することで、最適なワクチン抗原のデザイン等が可能になる。

これまで、データの豊富なSARS-CoV-2や季節性インフルエンザウイルスをモデルケースとして、変異株の感染受容体への結合能、免疫逃避能、そして適応度を予測する研究が進められてきた[4, 5, 6, 7, 8, 9, 10]。本稿では特に、著者・伊東らが進めてきた適応度予測と抗原性予測の研究を例に、ウイルスタンパク質の遺伝型-形質関係をモデル化し、さらには流行・進化予測に応用する研究の潮流を紹介する。
適応度とは、ある個体がどの程度の子孫を残すかを表す集団遺伝学的な指標である。感染症疫学においては、相対適応度を、特定の状況下である変異株が他の変異株と比較してどの程度流行を拡大できるかを示す指標として用いる。変異株の流行ダイナミクスは相対適応度により規定されるため、各変異株の相対適応度を推定し、適応度の高い変異株を同定することで近い将来に流行拡大する次期流行株の予測が可能となる。次期流行株を事前に把握することで、流行拡大前にその性質を実験的に解明し、リスク評価へと結びつけることができる。また、次期流行株をワクチン株として選定することで、ワクチン有効性の向上も期待できる。
相対適応度を推定する古典的な手法として、ウイルスゲノム疫学調査などで得られた各変異株の検出頻度推移データに対して多項ロジスティックモデルを当てはめ、各変異株の相対的な適応度を推定する方法が広く利用されている(図2)(詳細は川崎らの総説を参照されたい[11])。本手法を用いると、推定された適応度に基づき数週間〜数ヶ月後の変異株の流行頻度を比較的高精度に予測することができ、かつ次期流行株を出現直後に同定することができる。実際、伊東らはこれまで、本手法に基づき次期流行株を予測することで、COVID-19パンデミック下における変異株の国際的なリスク評価に貢献してきた[12]。

この古典的な適応度推定法は簡便かつ強力なアプローチだが、いくつかの限界がある。第一に、本手法を利用するためには、変異株の検出頻度の時系列変化を捉えられるほど集約的なウイルスゲノム調査が必要となる。しかし昨今、ウイルスゲノム調査の規模が縮小しつつあるため、本手法の有効性は低下しつつある。第二に、本手法は既存変異株のみを解析対象とするため、ウイルス進化による新たな変異株の出現を考慮できない。第三に、本手法は変異株間の相対適応度が時間とともに変化しないという仮定を置くが、この仮定は現実では必ずしも成立しない。実際には適応度は条件依存的な指標であり、各変異株の適応度は宿主集団の免疫状況などの影響を受け、時間とともに変動しうる。
2.2.SARS-CoV-2適応度の予測モデル「CoVFit」の開発本節では、適応度推定の第1、第2の限界を打破しうるアプローチとして、相対適応度を遺伝型から直接予測する方法を紹介する。適応度を配列から直接予測できれば、適応度が高く将来的に流行拡大する可能性の高い変異株の出現を、理論上は単一配列が検出された段階で同定することが可能となる。また、ウイルスは一般に適応度を高める方向へ進化する傾向を示すことが知られている。そのため、適応度予測モデルを確立することで、ウイルス進化の方向性、すなわち次にどのような変異を獲得した変異株が出現するか予測することが可能になる。
伊東らおよび海外の研究グループは、SARS-CoV-2変異株の相対適応度をゲノム配列に基づいて予測するモデル、すなわちウイルスの「適応度地形(fitness landscape)」を推定するモデルを、ベイズモデリング[6, 13]および深層学習[14]の枠組みを用いて開発してきた。本稿では特に、伊東らの開発した深層学習に基づく予測モデルCoVFit[14]について概説する。
近年、自然言語の文章の代わりに膨大なタンパク質次配列を学習した大規模言語モデル「タンパク質言語モデル(protein language model: pLM)」が急速に発展してきた(詳細は山口らの総説を参照されたい[15])。CoVFitは、こうしたpLMを基盤とし、SARS-CoV-2変異株の相対適応度をスパイクタンパク質配列から予測するモデルである(図3A)。具体的には、pLMであるESM-2[16]を用い、i)ウイルスゲノム疫学データから推定された各変異株の適応度とスパイクタンパク質配列情報、およびii)DMS実験により網羅的に計測された変異の免疫逃避能に関する機能情報をマルチタスク学習させることで構築した。このマルチタスク学習の枠組みにより、実験により計測された各変異の効果情報を適応度予測に効果的に転用することが可能となる。

A)CoVFitの概念図。CoVFitは変異株の相対適応度をスパイクタンパク質配列に基づき予測する。
B)SARS-CoV-2の進化過程における、適応度上昇に寄与する変異の獲得。
C)CoVFitを用いたin silico DMSの結果。当時の最先端の株であったオミクロンJN.1株を基準株に使用した。
D)JN.1子孫株の流行頻度推移。in silico DMSにより予測された各アミノ酸残基に変異を持つ子孫株についての結果を示している。
本研究では未知(未来)の変異株に対するCoVFitによる適応度予測の精度を評価するために、学習データセットをある時点(例:2023年5月)で過去と未来の変異株に分割したのち、過去の変異株情報だけを学習したモデルにより、未来の変異株の適応度を予測できるか評価した。その結果、過去の変異株に対する予測性能よりは落ちるものの、未来の変異株についても比較的高い精度で予測可能であることが示された。
伊東らはさらに、CoVFitを用いてSARS-CoV-2の進化過程で起こった適応度の上昇を網羅的に検出する手法を開発した。具体的には、系統樹上の外部・内部節の適応度を祖先配列推定とCoVFitにより予測したのち、親-子節間の適応度を比較することで、適応度が有意に上昇した系統樹上の枝を同定した(図3B)。そして、SARS-CoV-2の進化過程で適応度の上昇が500回以上起きたことを示した。さらに、適応度の上昇に関わる変異は、スパイクタンパク質の受容体結合ドメインに集中しており、またこれらの変異の多くは中和抗体からの逃避に関わることを示した。
さらに、CoVFitの進化予測能力を検証するため、既存変異株に理論上可能な単一アミノ酸変異を網羅的に導入し、それぞれが適応度に与える影響を予測するin silico DMSシミュレーターを構築した(図3C)。その結果、当時主流であったオミクロンJN.1株は、アミノ酸残基F456、K478、R346に変異を獲得すると適応度が上昇するという予測を得た。その後の実世界におけるゲノムサーベイランスにより、これらの変異を獲得したJN.1派生株が実際に出現・急速に拡大したことが確認され、予測が的中したことが示された(図3D)。この結果は、CoVFitが単一変異レベルでの進化予測を比較的高精度に実現できることを示唆している。
以上の結果は、CoVFitがウイルス適応度上昇の遺伝学的基盤を明らかにするとともに、進化の方向性を予測しうる枠組みであることを示している。本アプローチは、ウイルス進化の法則性に関する理解を深めるだけでなく、ゲノム疫学を記述的解析から予測的解析へと拡張する可能性を有する。将来的には、ワクチン株選定やリスク評価など、より合理的な感染症制御戦略の構築に貢献することが期待される。
SARS-CoV-2や季節性インフルエンザウイルスは、進化によって自身の抗原性(抗体により認識される表面構造の特徴)を変化させることで宿主集団に形成された免疫から逃避する。ワクチンの効果は、感染株とワクチンに用いられる株(ワクチン株)との抗原性の一致度に概ね比例する。そのため、効果的なワクチンを供給するには、流行株の抗原性を継続的に評価し、抗原性の一致した株をワクチン株として選定する必要がある。さらに、変異株間の適応度は集団免疫からの逃避能によって大きく左右されることから、ウイルスの抗原性予測は変異株の流行動態をより正確に予測する上でも重要となる。そこで伊東らは、季節性インフルエンザウイルスの抗原性をヘマグルチニン(HA)タンパク質配列から予測するAI「PLANT(Protein Language model for predicting ANTigenicity)」を開発した[17]。
変異株間の抗原性の違いは、免疫を付与した動物から採取した抗体を含む血清を用いた血清学的試験により評価される(図4A)。これらの試験では、変異株Aによって誘導された液性免疫が変異株Bの感染をどの程度抑制(中和)するかを測定し、その結果を抗原距離として定量化する。抗原地図は、こうした抗原距離データを多次元尺度法(MDS)により低次元空間に埋め込み、変異株間の抗原距離の関係を視覚的に表現したものである(図4B)[4]。抗原地図は、免疫逃避株の同定やワクチン株選定において長年にわたり重要な役割を果たしてきた。

A)血清学的試験による抗原距離の定量。抗原距離はウイルス株Aにより誘導された液性免疫がウイルス株Bをどの程度中和できるかを表す。
B)多次元尺度法(MDS)による通常の抗原地図作成。
C)PLANTの概念図。PLANTはHAタンパク質配列に基づき、ウイルス株を株間の抗原性の違いを表す抗原地図に埋め込むことで抗原性を予測する。
D)pLMに基づく抗原地図作成法のアルゴリズム。
E)これまでに配列決定された全ウイルス株を含む抗原地図の構築と、様々な定量解析への応用。
F)各流行株から同シーズンに使用されたワクチン株までの抗原距離。
G)ワクチン候補株から同シーズン流行株までの抗原距離の中央値。実際に使用されたWHO推奨株と本手法により推薦された株を比較している。
しかし、従来の抗原地図は実験データに依存して構築されるため、新規に出現した変異株の抗原性、すなわち抗原地図上の座標を、配列情報のみから直接予測することはできない。この限界は、ウイルスゲノム調査のみに基づく変異株の抗原性リアルタイム監視の実現に向けた障壁となっていた。加えて、ウイルス株間の抗原距離を予測するモデルは既に開発されていたが[5, 17]、抗原地図を直接予測するモデルは報告がなかった。そこで本研究では、ウイルスタンパク質配列に基づきウイルス株を埋め込み可能な抗原地図を構築する技術の開発に取り組んだ(図4C)。
pLMを用いると、タンパク質配列をタンパク質の配列的・構造的・機能的特徴を反映した意味空間に埋め込むことができる。ウイルスタンパク質については、抗原性を反映した形で意味空間に埋め込まれることが先行研究により報告されている[18]。本研究では、意味空間を埋め込み可能な抗原地図に変換する学習アルゴリズム「pLMに基づく抗原地図作成法」を考案した(図4D)。本手法ではまず、ウイルスタンパク質配列に基づき、各変異株を次元削減された意味空間に埋め込む。次に、この空間上での変異株間の距離(意味的距離)を測定する。そして、この意味的距離が実験により計測された抗原距離に一致するようにpLMを訓練する。このプロセスにより、pLMの意味空間は埋め込み可能な抗原地図へと変換される。本研究では、この学習アルゴリズムとpLMのESM-2を用いて、季節性インフルエンザウイルスの抗原性を予測するAI「PLANT(Protein Language model for predicting ANTigenicity)」を構築した。
学習したPLANTを用い、1968年から2024年までに配列決定された約16万件のH3N2ウイルスを包含する抗原地図を構築し、H3N2ウイルスの抗原性進化の長期的ダイナミクスを包括的に描出した(図4E)。この解析により、進化の過程で断続的に生じた大規模な抗原性変化(いわゆる抗原性ジャンプ)を同定するとともに、抗原性進化に寄与する195種類の変異を特定した。本解析により、H3N2ウイルスの抗原性進化の遺伝的基盤が明らかとなった。
3.2.PLANTを用いた定量解析とワクチン株選定への応用PLANTの強みは、ウイルスゲノム疫学調査と抗原地図解析をシームレスに統合できること、そして構築した包括的な抗原地図を活用し、ウイルスの抗原性と流行動態の関連解析など、様々な定量解析を実施できることにある(図4E)。例えば本研究では、各変異株の既存株集団からの抗原性の変化量(抗原新規性)と相対適応度が強い相関を示すことや、相対適応度と抗原新規性の両方の指標を用いることでより正確に次期流行株を予測できることを示した。本稿では、PLANTのアプリケーションのひとつとして、ワクチン株の自動選定への応用を紹介する。
季節性インフルエンザワクチンでは、翌シーズンに使用するワクチン株を今シーズンの流行株から選定する必要がある。選定されたワクチン株が翌シーズンの流行株と抗原的に近いほど、ワクチン効果は高まる。まず、伊東らは、WHOがこれまでに選定してきたワクチン株について、流行株との抗原一致性をPLANTにより再評価した。その結果、WHOが目標とする「流行株から抗原距離2以内」という基準を満たす流行株は全体の55%にとどまることが明らかとなった(図4F)。すなわち、実際にはワクチン株と流行株の抗原性が十分に一致していない年が少なくないことが示された。
そこで、PLANTによる抗原性予測と、ロジスティックモデルに基づく変異株の流行動態予測を統合し、最適なワクチン株を自動的に選定するスキームを開発した。2015年から2023年を対象とした後ろ向き評価において、本手法により選定されたワクチン候補株は、WHO選定株と比較して抗原距離を平均0.76単位削減できることが示された(図4G)。これは、抗原性予測と流行予測を統合することで、ワクチン株選定の合理化が可能であることを示している。
以上のように、PLANTはウイルスゲノム疫学データと網羅的な抗原地図解析を統合し、ウイルスの遺伝型・抗原性・適応度を総合的に解析する枠組みを提供する。特に、既存の流行株からの抗原性変化量に基づいて適応度を再定義するアプローチにより、従来の適応度推定が前提としてきた「変異株間の相対適応度が不変である」という強い仮定を緩和できる可能性がある。今後は、ウイルスの遺伝型・抗原性・適応度の関係を明示的にモデル化した、メカニズムに基づく統合モデルの開発が期待される。
ウイルス形質予測モデルの開発を進める上で重要な未解決課題の一つは、ウイルスの進化と、それに伴う予測の外挿に関する問題である。著しい汎化性能を示す「創発」段階に至っていない機械学習モデルは一般に、訓練データの分布からはずれた外挿領域に位置するデータに対しては予測精度が著しく低下する。一方、ウイルスは急速に進化し、時間の経過とともに(わずか1〜2年で!)データの分布がこの内挿領域から逸脱してしまう(図5)。そのため、ウイルス形質予測モデルの最新の流行株に対する予測性能は、訓練データの取得から時間が経過するにつれて急速に減衰する傾向にある。

この問題へのナイーブな対応策として、逐次的なモデル再学習が挙げられる。たとえば、前シーズンまでのデータを用いてモデルを学習し、今シーズンの変異株に対する予測を行う、といったアプローチである。ウイルスは急速に進化し続けるため、このような再学習型アプローチは不可避である。しかし、モデル更新のたびに新たなデータ収集と再訓練が必要となることから、頻繁な(シーズンごとの)更新は人的・金銭的コストの増大を招くという課題がある。
したがって、高頻度なモデル更新になるべく依存しない、ウイルスの進化に対して頑健な形質予測モデルの構築が望まれている。例えば形質予測を、既存株との形質差を配列の違いに基づき予測する変異効果予測タスクとして捉え直すことで、より頑強な予測が可能になるかもしれない。また、モデル内で使用する配列の潜在空間として、双極空間などの「広い」空間を用いることで、ウイルスの無数に枝分かれしうる進化可能性を適切に内包したモデルを構築できる可能性がある。加えて、遺伝型と形質の関係を直接的にモデル化するアプローチだけでなく、変異タンパク質の立体構造予測とドッキングシミュレーションを駆使した第一原理に基づく形質予測も有効だと考えられる。進化に頑強な形質予測モデルの開発は実用性を高める鍵であるとともにバイオインフォマティクスとしても興味深い課題だと思うので、ご興味ある方はぜひ取り組んでいただきたい。
ウイルス学がビッグデータ時代へと突入したことで、ウイルスはもはや従来のウイルス学分野にとどまらず、生命情報科学や進化生物学など多様な分野の研究者にとっても極めて魅力的な研究対象となった。特に、ウイルスタンパク質の遺伝型と形質の関係をモデル化し予測する研究は、生物学におけるAI応用の最前線を切り拓く領域である。進化、免疫、流行動態といった多層的な現象を統合的に理解しようとする本分野は、基礎科学としての意義にとどまらず、感染症制御やワクチン開発への応用といった社会実装への距離の近い領域である。本稿が、ウイルスの遺伝型-形質モデリングと流行進化予測という新しい研究領域に関心を持つきっかけとなり、読者の中から本分野に飛び込む研究者が現れることを期待したい。
| 伊東 潤平 山口大学農学部獣医学科でウイルス学を学んだのち、国立遺伝学研究所でバイオインフォマティクスを学び、総合研究大学院大学で博士(理学)を取得した。東京大学医科学研究所システムウイルス学分野(佐藤佳研究室)での学振PD、特任助教、助教、准教授を経たのち現職。大学院進学、学生バイト、技術職員、研究員を募集中。 |