日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
SHEDD-fA施行中患者におけるバンコマイシン(VCM)投与の血中濃度推移に関する検討
竹本 雄一森山 和広山下 千鶴原 嘉孝西田 修
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2019 年 10 巻 2 号 p. 106-110

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抄録

敗血症,肺炎等で当院ICUに入室し間歇的高効率血液浄化法(SHEDD-fA)を施行中の患者の理論上のクリアスペース率から推定したバンコマイシン(VCM)の投与方法が,有効血中濃度を維持できるかについて後方視的に検討した。解析対象となった症例は6症例7施行分でありSHEDD-fA施行中に6時間毎にVCM1.0gが投与された症例を検討した結果,SHEDD-fA開始時,6時間後,12時間後のVCMの血中濃度の中央値はそれぞれ20.5μg/mL(13.9〜22.6),18.4μg/mL(17.1〜22.3),19.7μg/mL(16.4〜21.4)であった。対象症例には自己腎機能が保たれている症例,血液浄化に依存している症例が含まれており,高効率血液浄化療法中のVCM投与は自己の残腎機能によらず一定の投与量で血中濃度を維持することができる可能性が示唆された。SHEDD-fAと同等の血液浄化量で施行されるHDFやSLEDDの場合でも同じことが言えると考えられる。

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© 2019, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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