高齢症例の急性腎障害(acute kidney injury:AKI)は,病態の改善が難しく治療に時間を要すだけでなく,治療後の日常生活動作(activities of daily living:ADL)低下が大きな問題となる。今回,高齢症例のAKIに対する血液浄化療法施行時にカフ型カテーテル(tunneled cuffed catheter:TCC)を使用する有用性について検討した。2018年1月〜2020年6月の期間,75歳以上でAKIに対する血液浄化療法施行時にTCCを使用した6例(平均年齢83.7±3.7歳,男性4例,女性2例)を対象とした。血液浄化療法開始時のバスキュラーアクセスは直接穿刺1例,非カフ型カテーテル4例,TCC 1例だったが,TCC以外の5例もTCCへ移行し,全例がTCCを使用しつつ外来維持透析となった。TCCは構造上の特性から,高い安全性を持ち,制限が少なく,外来管理可能なカテーテルである。高齢症例のAKIに対しTCCを使用することで,入院期間を短縮,ADL低下を予防し,外来維持透析へ繋ぐことが可能であったと考えられた。