2023 年 13 巻 2 号 p. 121-125
【はじめに】われわれの施設では血液浄化装置ACH-Σ,Prismaflexを用いてAN69STヘモフィルターを用いた持続的血液濾過(continuous hemofiltration:CHF)を施行している。今回,ACH-ΣとPrismaflexを使用したAN69ST-CHF施行時における回路凝固の発生について後ろ向きに検討を行った。【方法】AN69ST-CHFを施行した症例を抽出し,ACH-Σ(Σ群)またはPrismaflex(P群)を使用し,ナファモスタットメシル酸塩の総投与速度が30mg/hr(Σ群では分注投与法,P群ではフィルター前投与法)のものとした。1本のAN69STで22時間以上CHFを行えた場合を目標達成と定義し,目標達成率,凝固箇所について比較した。【結果】CHFの目標達成率は両群で差を認めなかった(Σ群:72.7%(16/22施行) vs P群:77.3%(17/22施行),p=0.73)。P群ではVチャンバー凝固の発生が有意に少なかった(Σ群:5/6施行 vs P群:1/5施行,p<0.05)。【結語】AN69ST-CHF施行時において,目標達成率は両群で差を認めなかった。凝固箇所の検討では,Vチャンバー凝固の発生頻度がP群で有意に少なかった。