2025 年 16 巻 1 号 p. 2-8
“Cytokine theory of disease”なる概念に立てば,多くの疾病はcytokineの血中濃度が高いことによって引き起こされるということになる。またcytokine血中濃度が高値を示す状態は“cytokine storm”と呼称される。しかし現時点では,cytokine stormの確立した診断基準はない。臨床の場では最も測定しやすいinterleukin-6(IL-6)を測定し,cytokine stormを診断し,制御するのが実践的であり,われわれはIL-6血中濃度が1,000pg/mL以上の場合にcytokine stormと診断し,対策をとることにしている。感染などの侵襲により発症してしまっているcytokine storm,およびその結果としての急性臓器機能不全に対する対策としては,cytokine吸着能をもつhemofilterを用いた持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration with cytokine‑adsorbing hemofilter:CAH-CHDF)が有効,有用である。