2025 年 16 巻 1 号 p. 52-55
メトトレキサート(MTX)大量療法は白血病や悪性リンパ腫に対する有効な治療法である一方で,重篤な副作用としてMTX中毒を引き起こす可能性がある。MTX中毒に対する治療には,解毒薬であるグルカルピダーゼの投与の他に,血漿交換,血液透析,血液吸着(direct hemoperfusion:DHP)などの血液浄化法が有効とされている。今回,MTX中毒に対して24時間のDHPおよび持続的腎代替療法(continuous renal replacement therapy:CRRT)を施行した症例を報告する。DHPのクリアランスは開始直後で84.5mL/min,24時間後で32.1mL/minであった。一方,CRRTのクリアランスは開始直後で35.7mL/min,12時間後で30.7mL/minであった。DHPは24時間経過後も一定のクリアランスを維持しており,MTX中毒に対する有効な治療選択肢としての可能性が示唆された。