日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
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症例報告
遠心型血漿分離法による血漿交換療法中にクエン酸蓄積による重篤なイオン化カルシウム濃度低下と心機能低下を呈した川崎病の男児
林谷 俊和青木 一憲原田 晋二加藤 愛美川本 昌平宮下 徳久黒澤 寛史
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2025 年 16 巻 1 号 p. 47-51

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抄録

1歳1ヵ月,男児。川崎病に対する遠心型血漿交換療法を3日間連続で行った。3日目の血漿交換療法中に急激な循環不全を呈した。著しいイオン化カルシウム濃度低下を認め,補正後に循環動態は速やかに改善した。遠心型血漿交換は置換効率が高く,低血液流量で施行できるため,末梢動静脈路のみで行えるという利点がある。しかし,抗凝固薬であるクエン酸が代謝能を超えて蓄積すると,イオン化カルシウム濃度低下やアニオンギャップ開大性代謝性アシドーシスを引き起こし,循環不全を招く可能性がある。このクエン酸蓄積はまれだが重篤な合併症であり注意を要する。小児でのリスク因子は十分に解明されていないが,臨床的には総カルシウム/イオン化カルシウム濃度比上昇やアニオンギャップ開大が指標になり得る。小児の遠心型血漿交換療法中はバイタルサインやこれらの検査値の厳密なモニタリングが必要であり,集中治療室かそれに準じた体制で施行すべきである。

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