2011 年 2 巻 1 号 p. 110-117
持続的血液浄化療法施行時において急激にhemofilter life-timeが短縮することを時折経験する。そこで各社ポリスルフォン膜hemofilterを用いた際の凝固要因から臨床上効果的な使用法を見出すことを目的にAEF-07(AEF),SH-0.8(SH),D-30NR(D30)を用いた症例の体外循環パラメータおよびhemofilter life-timeが突然24時間未満に短縮した要因を調査した。その結果,動静脈圧較差および膜間圧力差(transmembrane pressure:TMP)はAEF<D30≒SH,hemofilter life-timeはAEF≒SH<D30,さらに膜交換理由は全群で濾過圧減少が少なく,AEFは動脈圧上限,D30は返血圧上限が多かった。またhemofilter life-timeが短縮した際には膜素材変更がlife-timeの有意な延長を認め,同一膜素材変更は効果を認めなかった。各社ポリスルフォン膜hemofilterは施行条件による影響が少ないために仕様を改良することで膜の特徴性を引き出せる可能性が示唆されたが,急激なhemofilter life-time短縮の対応は膜素材の変更が最も効果的であった。