日本急性血液浄化学会雑誌
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総説
急性肺障害に対するPMX(Polymyxin B-immobilized fiber column)療法
阿部 信二
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2011 年 2 巻 2 号 p. 159-164

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抄録

特発性肺線維症の急性増悪を含む,急性肺障害の病理所見はびまん性肺胞傷害(diffuse alveolar damage:DAD)であるが,このDADの予後は極めて不良であり,有効な治療法は確立していない。ポリミキシンB固定化線維カラムを用いた血液浄化療法(Direct hemoperfusion with polymyxin B-immobilized fiber column:PMX-DHP)は元来,血中のエンドトキシン除去のために開発され,エンドトキシン血症に対する治療法として用いられてきた。最近の臨床研究からDADに対するPMX-DHPの有用性が報告されている。われわれは間質性肺炎の急性増悪においてPMXカラムに吸着された細胞が主に好中球であり,HLA-DR,CD14,CD62L,CD114などを高頻度に発現していることを報告した。またPMXカラム洗浄液中に活性化metalloproteinase(MMP)-9が検出され,PMX-DHPにより血清MMP-9値の有意な低下を認めた。さらに血清high mobility group box-1(HMGB-1)値は特発性肺線維症の急性増悪時には上昇するが,PMX-DHPにより有意な減少を認め,PMXカラム洗浄液中にもHMGB-1が検出されたことを示してきた。以上のことからDADに対するPMX-DHPの有用性が示唆された。

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© 2011, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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