日本急性血液浄化学会雑誌
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総説
急性腎障害(acute kidney injury:AKI)の診断と展望
平和 伸仁
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2011 年 2 巻 2 号 p. 165-174

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抄録

AKIは,近年出現してきた概念であり,急性腎不全よりもより広範な腎臓の障害を包括する症候群として理解する必要がある。軽度な腎機能の低下が,患者の生命予後に大きな影響を与える事が明らかになり,2002年,Acute Dialysis Quality Initiative(ADQI)コンセンサス・カンファレンスにおいて,急性腎不全の新しい定義が提唱された。この定義では,血清クレアチニン(Cr),GFR,時間尿量という簡便なパラメーターを用いることにより診断し,RIFLE分類という5つのステージに分類することをも提唱した。一方,2005年にAcute Kidney Injury Network(AKIN)が,急性腎不全を形態的かつ機能的な腎障害ととらえ,新しくacute kidney injury(AKI)という名称と概念を提唱した。AKIN分類では,RIFLE分類を改変し,血清Cr 0.3mg/dLの上昇を有意な変動と考えAKIの診断に取り入れた。また,48時間以内のCr値の変化により診断すること,AKIを3つのステージに分類する事とし,単純に診断・分類することを提唱した。血清クレアチンの変動に重点を置いて診断されるため,さまざまな有用性とともに問題点もある。AKIの定義についてその意義,問題点,AKIN Summit Workshopの経過などを含めて報告する。

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© 2011, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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