2014 年 5 巻 2 号 p. 122-126
持続的腎機能代替療法(CRRT)施行時にポリスルホン(PS)系膜hemofilterを使用した際の凝固イベント発生と,重症度および生命予後への関連性を後方視的に検討した。2008年3月から2012年9月にPS系膜でCRRTを導入した急性腎傷害(AKI)171症例を対象に,CRRT施行期間中にhemofilter life-timeが一度でも24時間未満の凝固イベントがあった群(凝固群:80症例)となかった群(安定群:91症例)で比較した。その結果,CRRT導入時の施行条件および患者背景に差を認めなかったが,SOFA scoreは安定群10.8±2.8に対して凝固群12.2±2.7で有意に高値(p<0.05),入院期間中の死亡は安定群8例に対して凝固群20例で有意に多かった(p<0.05)。以上より,PS系膜使用時に凝固イベントを有する場合,予後不良の一因子として有用であることが示唆された。