2014 年 5 巻 2 号 p. 115-121
われわれは,東日本大震災によって最多の人的被害を受けた宮城県で,沿岸の災害拠点病院の後方医療拠点として災害対応を行った。最前線と後方の災害拠点病院双方の災害対策本部の方針を早期に明確化することで連携は円滑に進んだ。直後の外傷由来の急性血液浄化のニーズはなく,慢性透析の患者支援に資源が確保され地域の透析医療拠点と連携した。急性血液浄化は,津波関連肺炎などの重症な内科的疾患や多臓器不全に対して1週間後から実施例が増加した。復旧期には延期していた手術の再開や,被災地の患者を受け入れたことなど,血液浄化療法の件数は中期的に増加した。さらに広域支援透析のコーディネートなど,対応は幅広くかつ長期間にわたった。拠点医療機関の血液浄化療法部門の災害対策は,災害フェーズにより変化する重症病態への急性血液浄化と慢性透析患者支援の双方のニーズに応じるため,医療資源の配分や施設間連携を最適化することが重要である。