日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
持続的血液濾過におけるヘモフィルタ素材と濾過流量の違いによるクリアランス特性の検討
千原 伸也島田 朋和巽 博臣中村 勇輝山口 真依小川 輝之升田 好樹
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 8 巻 2 号 p. 127-131

詳細
抄録

【目的】3種類のヘモフィルタ素材および3段階の濾過流量(QF)を用いた持続的血液濾過(CHF)において,小分子から大分子量物質領域の溶質クリアランス特性をin vitroで比較検討した。【方法】クレアチニン,IL-8,IL-6を添加した試験液を用いて,ヘモフィルタにPS膜,AN69ST膜,PMMA膜を用いたCHFをin vitroで施行した。CHFの条件は試験液流量150mL/min,濾過流量は600,1,200,2,100mL/hrとした。ヘモフィルタ前後で計6回サンプリングを行い,クレアチニン,IL-8,IL-6濃度を測定しクリアランスを算出した。【結果】クレアチニンのクリアランスは3種のヘモフィルタで差はなく,いずれもQFに依存して変化した。IL-8,IL-6はPS膜に比べ,AN69ST膜,PMMA膜で著しくクリアランスが上昇した。PMMA膜によるIL-8,IL-6クリアランスはQFに依存しなかった。【結語】CHFにおけるサイトカインなどの大分子量物質のクリアランスは,濾過膜に比べ吸着作用を有する膜が優れる。敗血症でサイトカインをターゲットとしてCHFを施行する際には吸着作用を有する膜の使用は重要な治療戦略の一つであることが示唆された。

著者関連情報
© 2017, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top