2017 年 8 巻 2 号 p. 122-126
敗血症性ショックを合併した消化管穿孔患者に対して,Early goal-directed therapyによる初期輸液療法と早期感染巣コントロールを組み込んだプロトコールを用いて治療を行ってきた。137例の患者に関して,術後1時間以内にScvO2≧70%を達成した群と非達成群で60日転帰を比較した。達成群100例の60日生存は98%だったのに対して,非達成群37例は30%であった(p-value<0.001)。非達成群全例に対して血液浄化療法が施行され,内4例に持続的ScvO2測定が行われた。血液浄化療法中にScvO2が上昇した患者2例は救命できたが,ScvO2が改善しなかった2例は救命できなかった。感染巣コントロール終了後のScvO2の値は,敗血症性ショックを合併した消化管穿孔患者の転帰を予測できるかもしれない。また,血液浄化療法は感染巣コントロール後の組織酸素代謝を改善させ,転帰改善に寄与する可能性がある。