2017 年 8 巻 2 号 p. 153-157
血液濾過器の中空糸への血液流入部における血液淀み解消を目的として,エクセルフローAEFでは中空糸開口部にファンネル構造(漏斗形状)が取り入れられた。一方,透水性向上を目的として,ヘモフィールSHGでは,中空糸設計の最適化によるリニューアルが実施された。本研究では,両血液濾過器の中空糸開口部の顕微鏡観察を行い,その形状を比較した。また,SHGとAEFの透水性能,牛血液濾過実験におけるライフタイム,血液実験後の中空糸内表面を比較した。中空糸開口部の観察では,AEFでファンネル構造を確認でき,SHGにも同様のすり鉢状構造が確認された。また,AEFに比してSHGの方が透水性能は高いことがわかった。さらに,牛血液濾過実験ではライフタイムの差は認められなかったが,AEFでは中空糸内表面に広く血液凝固物の付着が認められるがSHGではほとんど認められず,TMPはSHGの方が低値で推移することがわかった。