日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
症例報告
急性バルプロ酸中毒に対して持続的血液濾過透析を施行した1歳女児例
伴 英樹武藤 雄一郎三浦 義文平井 克樹右田 昌宏古庄 弘和平田 憲史郎
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2017 年 8 巻 2 号 p. 158-161

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抄録

1歳3ヵ月,女児。受診日の0時に母の徐放性バルプロ酸製剤(sodium Valproate:VPA)を誤飲。症状なく就寝。20時から反応が乏しくなり,21時に当院救急外来受診。来院時,意識障害(E1V1M5),低血糖(5mg/dL),高Na血症(150mEq/L),高NH3血症(456μg/dL),低Ca血症(7.0mg/dL),アシデミア(pH 7.18),VPA血中濃度771.9μg/mL。VPA中毒と診断。意識障害に対して人工呼吸管理開始。L-カルニチン投与を行うも高NH3血症は遷延し,continuous hemodiafiltration (CHDF)を開始。速やかにNH3は改善し,VPA血中濃度もベイズ推定値より早く改善したが,神経学的後遺症を残し第75病日にリハビリ目的に転院。小児の急性VPA中毒に伴う高NH3血症や意識障害に対して,支持療法に加えて,血液浄化療法は有効な手段の一つである。また,continuous renal replacement therapy(CRRT)でも,VPA血中濃度をより早く中毒域以下に改善させる効果が期待できる。

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© 2017, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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