抄録
緊張病は統合失調症か,それとも躁うつ病かという問いは,これらが類型概念である限り答えはない。この疾患各論上の問題は,内因性精神病の領域には疾患単位が存在するのかどうかという総論的問題と関係している。ここでは遅発緊張病の典型的症例を呈示し,その症候学的特徴について述べた。さらに病の種と類型について論じ,臨床精神医学においては疾患単位の追求ではなく,役に立つ類型を提唱することが大切であることを主張した。遅発緊張病は精神医学の領域において生命危険性が問題となる数少ない病態である。そのような視点からは,有用な類型の一つであるに違いない。