日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
21 巻 , 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 古茶 大樹
    2010 年 21 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    緊張病は統合失調症か,それとも躁うつ病かという問いは,これらが類型概念である限り答えはない。この疾患各論上の問題は,内因性精神病の領域には疾患単位が存在するのかどうかという総論的問題と関係している。ここでは遅発緊張病の典型的症例を呈示し,その症候学的特徴について述べた。さらに病の種と類型について論じ,臨床精神医学においては疾患単位の追求ではなく,役に立つ類型を提唱することが大切であることを主張した。遅発緊張病は精神医学の領域において生命危険性が問題となる数少ない病態である。そのような視点からは,有用な類型の一つであるに違いない。
  • 八田 耕太郎
    2010 年 21 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    緊張病の診断に関する議論は,抗精神病薬の登場から 20 数年遅れて認知された悪性症候群との異同に関する生理学的・生化学的議論に発展し,それに伴ってベンゾジアゼピンと ECT が第一選択で抗精神病薬は避けるべきといった治療論の流れにつながる。その是非も含めて,自験 50 例の治療経過の検討から,診断・治療両面の国際的な議論に向き合ってみたい。
  • 小林 聡幸
    2010 年 21 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    緊張病を一定の病像や経過からなる病型として記述した Kahlbaum に反して,近年の操作的診断基準の緊張病症候群の記述は「緊張病性の特徴」と表されるように緊張病的な「見た目」が重要視されている。確かに緊張病的な「見た目」は様々な疾患で生ずる。緊張病は疾患を横断する非特異的な症状というのはひとつの見解で,緊張病が原始反射に類似しているという Kretschmer の指摘に遡る。換言すると,緊張病とは人間精神の古層の露呈という仮説が成り立つ。また臨床的には緊張病は統合失調症と躁うつ病の蝶番の位置にあるといえる。他方,Kraepelin の早発性痴呆概念自体が,Heckerの破瓜病とともに,Kahlbaum の緊張病の概念を包摂することで成立したことを顧みるならば,緊張病の内包を突き詰めていくと統合失調症の本質に行き着くという考えもある。それは時間性の病理である。
  • 深津 孝英
    2010 年 21 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    Kahlbaum は緊張病について,背景に脳器質疾患を想定したが,緊張病性症状を呈する症例では,内因性精神病と伴に身体因のある症例が少なからず含まれる。我々の経験した3例のうち,特に症例1は,横断像だけでは診断がつかず,緊張病,悪性症候群,脳炎との鑑別を要し,非ヘルペス性辺縁系脳炎の診断で集中治療がなされ回復した。非ヘルペス性辺縁系脳炎と抗 NMDAR 脳炎,またその類縁疾患についても考察に加えたい。
  • 石黒 浩毅
    2010 年 21 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    薬物依存には約 50 %の遺伝要因が存在する。今日のゲノム解析では CDCV 説に基づき GWASが行われているが,疾患感受性遺伝子の検出力を上げるためには解析検体数を増やし,遺伝と環境との交絡要因に考慮し,厳格な健常対照者のサンプリングを行うことが必要である。さらに将来的にはCDRV 説に基づき,全ゲノム塩基配列解読は薬物依存に関与する可能性のある CNV を含む rare variant を明らかにすると考えられる。
  • 土田 英人
    2010 年 21 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    今日わが国では,薬物の多様化と薬物乱用の低年齢化が認められ,その問題は医学モデルのみに留まらず,社会経済や政策などの領域とも広く関わりを持っている。覚せい剤や PCP などは,統合失調症の疾患モデルとして解析が進められており,これらを手掛かりとした統合失調症の病態・病因の解明が期待される。本稿では,薬物依存の共通の基盤のひとつである脳内報酬系と,分子レベルでみた依存の形成過程について概説する。
  • 菱本 明豊
    2010 年 21 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    アルコール依存とアルコール関連問題は医学・医療上の課題と社会・経済的課題とが複雑に絡み合い,きわめて広範囲・多岐にわたる分野からの解明,解決が急がれている。この項ではアルコール依存の生物学について概説した。アルコール依存の生物学的基盤はドパミンが介在する報酬系システムとグルタミン酸神経伝達系が介在する脳の可塑性, 記憶,学習の機構との相互作用が重要であると考えられている。
  • 岸 太郎, 岩田 仲生
    2010 年 21 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    覚醒剤をはじめとした「違法薬物の氾濫」という状態は社会的な大問題となっている。本稿では覚醒剤に焦点をあて,覚醒剤使用障害・依存・精神病性障害に関する遺伝学的研究についてまとめる。双生児研究によると,物質誘発性依存症は遺伝率が 60 %から 70 %と高いことが示されており,物質誘発性精神障害の遺伝学的研究が世界中で盛んに行われている。しかしながら,サンプルの収集が困難なため,日本では,Japanese Genetics Initiative for Drug Abuse(JGIDA)という多施設共同の研究グループがサンプルの集約と研究を推進してきた。我々も JGIDA の一員として遺伝学的研究を行っている。本稿では,JGIDA が中心となって行った日本人覚醒剤依存・精神病の遺伝学的研究についてまとめる。
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