日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
青年期の双極Ⅱ型障害:診断上の注意点
棟居 俊夫
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2011 年 21 巻 3 号 p. 195-198

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抄録
診断において双極性障害(Bipolar Disorder : BD)は大うつ病性障害(Major Depressive Disorder : MDD)に優先する。その背景の 1 つは軽躁病が見逃されやすいことである。つまり双極 II型障害(Bipolar II Disorder : BDII)は MDD と誤診されやすい。さらに丹念に問診しても軽躁病エピソードが認められなかった場合,すぐに MDD と診断するのではなく,躁性の徴候を探し,将来のBD の発症を念頭に置いておく必要がある。このような配慮は BD を MDD と誤診して,抗うつ薬を処方し,病状の悪化することを防ぐために必要である。 青年が抑うつ状態を呈して受診した場合,まず BD,特に BDII を疑わなければならない。なぜなら若年発症自体が躁性の徴候だからである。また,depressive mixed state という病態に注意する必要がある。なぜなら,操作的診断基準では MDD と診断されるが,この病態は BDII に近縁だからである。
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© 2011 日本生物学的精神医学会
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