日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
自閉症スペクトラム障害の社会性障害を探る:fMRI 研究
小坂 浩隆田邊 宏樹守田 知代岡本 悠子齋藤 大輔石飛 信棟居 俊夫和田 有司定藤 規弘
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2012 年 23 巻 4 号 p. 255-261

詳細
抄録

自閉症スペクトラム障害(ASD)の中核症状である社会性障害の脳基盤を解明するために,青年期の高機能ASD群に対して,共同研究機関とともに行ってきたfMRI研究を一部紹介する。自己顔認知課題においては,ASD群は自己顔認知処理がなされる後部帯状回の機能低下と情動処理に関わる右島の賦活異常を認め,認知と情動的評価に解離がみられた。相互模倣課題においては,自己動作実行と他者動作観察の同一性効果を求め,ASD群は左側の extrastriate body area の賦活が不十分で,症状重症度と逆相関を認めた。アイコンタクト・共同注視課題における2 台 MR同時測定(Dual-fMRI)においては,ASD群は視覚野の賦活低下を認めたほか,定型発達者ペアで認められた意図の共有を示す右下前頭葉活動の同調性が認められなかった。これらの脳領域が,ASD の social brain markerになる可能性があると考えられた。

著者関連情報
© 2012 日本生物学的精神医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top