2014 年 25 巻 1 号 p. 27-32
ハイデルベルグ大学の Thomas Schulze 教授の企画によるシンポジウム S094 Multidimensional approaches to the understanding of the biological basis of psychiatric disorders:Experiences from the Japanese ─ German HeKKSaGOn collaboration of universitiesの背景と概要を記載した。日本とドイツの大学研究機関 6 施設による HeKKSaGOn コンソーシアムを基盤として企画されたシンポジウムであり,精神疾患の生物学的研究の成果について討論された。生物学的研究の進め方や方向性についても議論されたが,ちょうど APA からDSM─ 5 が発表されたばかりであり,DSM─ 5 の導入が与える生物学的研究に対するインパクトについて筆者の個人的な考えを述べた。DSM─ 5 が必ずしも生物学的研究の推進を目指して作成されたものではなく,むしろ臨床現場での診断の客観性を維持するために改定されており,精神疾患の病態解明という観点から見ると注意すべき点があることを述べた。