抄録
近年,統合失調症の病態に酸化的ストレスや炎症がかかわっていることが判ってきた。例えば,統合失調症患者の血液中の炎症性サイトカイン濃度が,健常者と比較して有意に高いことが報告されている。また PET を用いた画像研究からも,統合失調症患者の脳では,ミクログリアの活性化が起きていることが報告され,さらに,抗酸化作用および抗炎症作用を有する化合物が,統合失調症の症状を改善することが報告されている。本稿では,統合失調症の発症の予防の可能性としての抗酸化物質(N-acetyl cysteine および sulforaphane)について考察したい。