日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
炭水化物による蛋白の変性と精神疾患との関与
永井 竜児白河 潤一大野 礼一品川 雅敏畑野 孝太須川 日加里山中 幹宏荒川 翔太郎永井 美芽
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 26 巻 1 号 p. 47-53

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抄録
アミノ酸や蛋白のアミノ基は,還元糖が有するカルボニル基と非酵素的に縮合反応を起こす。本反応は発見者であるフランスの食品化学者に由来してメイラード反応,あるいは蛋白に糖が結合する反応から糖化(英語では Glycation)とも呼ばれている。本反応はおおまかに二段階に分かれており,前期では血糖値の臨床マーカーとして既に世界的に測定されているヘモグロビン A1c(HbA1c)に代表されるアマドリ転位物が生成する。その後,酸化反応などによって,後期生成物である AGEs(Advanced Glycation End─ products)に変化する。当初,本反応は生体内で主にグルコースからゆっくりと進行すると考えられていたが,最近の研究から AGEs は解糖系,脂質過酸化,炎症反応などから生成する,グルコースより反応性の高いカルボニル化合物から迅速に生成することも明らかとなっている。これまで AGEs は加齢関連疾患や生活習慣病との関与が主に報告されてきたが,AGEs の測定系が確立されるにつれ,統合失調症をはじめとする精神疾患に対する AGEs の関与も明らかとなってきた。
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© 2015 日本生物学的精神医学会
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