日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
うつ病の認知機能障害は臨床的にどのマーカーとして使用可能か?
堀 輝吉村 玲児香月 あすか阿竹 聖和中村 純
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 26 巻 4 号 p. 218-222

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抄録

近年,うつ病における認知機能障害が注目されている。うつ病における認知機能障害は治療反応性や再発・再燃の予測因子となる可能性,寛解後の社会復帰に影響を与える重要な因子の一つである可能性など臨床的な分野での関心も高まりつつある。うつ病における認知機能障害は,病相期によって機能レベルは大きく変化するものの,寛解状態であっても認知機能障害が残存することが繰り返し報告されている。また認知機能障害のパターンが抗うつ薬などの治療反応予測に使える可能性についても複数の報告がある。さらに治療薬である抗うつ薬の一部には薬剤誘発性の認知機能障害をきたす可能性があるため注意が必要である。近年は勤労者うつ病の社会復帰や就労継続予測因子としての認知機能障害が注目されている。しかしながら,まだまだ良質な研究が少なく今後の研究結果が待たれる状況である。

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© 2015 日本生物学的精神医学会
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