抄録
近年のゲノム医科学の進展により,網羅的に遺伝子多型を解析できる全ゲノム関連研究(genome-wide association study:GWAS)が定着し,精神疾患をはじめとした多くの複雑疾患の疾患感受性遺伝子同定に寄与している。また,この技術は,遺伝的要因で規定される薬剤反応性や副作用出現を予測するための研究,薬理ゲノム学(pharmacogenomics:PGx)でも多くの関連遺伝子を同定し,実臨床への架け橋となっている。
本稿では,気分障害(双極性障害とうつ病)のGWASの結果と,気分障害治療に関連するPGx研究の結果を概説し,今後の方向性を考察する。