日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
28 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 白川 治
    2017 年 28 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/22
    ジャーナル オープンアクセス
  • 武田 雅俊
    2017 年 28 巻 1 号 p. 3
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/22
    ジャーナル オープンアクセス
  • 橋本 亮太
    2017 年 28 巻 1 号 p. 4-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/22
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症は,主に思春期・青年期に発症し,幻覚・妄想などの陽性症状,意欲低下・感情鈍麻などの陰性症状,認知機能障害などが認められ,多くは慢性・再発性の経過をたどり,社会的機能の低下を生じる精神障害である。統合失調症は家族集積性が高く,その遺伝要因に着目したゲノム研究がなされ,大規模サンプルによるGWASによって,108ものリスク座位の同定に成功し,これらの遺伝子に基づいた創薬が期待されている。また,脳神経画像解析や神経生理研究の進歩も目覚ましく,特に眼球運動は客観的補助診断法へ期待できる。さらに,認知機能障害については測定法が確立し,その障害の有無によって,治療法も変わることから,すでに客観的な診断法として確立したともいえる。このように診断法については中間表現型を中心に進んでいるが,治療法の開発については,分子/遺伝子が必要であり,トランスレーショナルなアプローチが期待される。
  • 石塚 佳奈子, 尾崎 紀夫
    2017 年 28 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/22
    ジャーナル オープンアクセス
    神経発達症に含まれる自閉スペクトラム症は,社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥と,行動,興味および活動の限定された反復的で常同的な様式で特徴づけられる一群であるが,症候論的に均質性は確保されていない。病態は脳の発達や成熟が進む乳幼児期に生じ,病態仮説として,シナプス形成の異常,グリア細胞の機能異常,周産期の炎症や免疫の長期的な関与,遺伝的脆弱性と環境要因の相互作用などが挙げられる。治療的介入には,発達期の脳に不要な影響を及ぼさない,分子生物学的機序に特異的な標的が必要である。自閉スペクトラム症をより良く理解して有効な治療的介入を見つけるためには,ゲノム,死後脳,神経生理や脳画像,モデル動物やiPS細胞の研究成果と臨床の知見を繋げることが求められる。
  • 石川 保幸
    2017 年 28 巻 1 号 p. 18-21
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/22
    ジャーナル オープンアクセス
    活動依存的シナプス可塑性は学習・記憶の細胞基盤として広く受け入れられている。シナプス可塑性には入力特異性という局所的な性質を持つが,細胞全体での現象つまり可塑性関連物質の新規合成のかかわっている長期可塑性では如何にして入力特異性を担保しているかは謎であった。そのような中,シナプスタグ仮説が提唱されタンパク質合成依存的長期可塑性の理解においてのブレイクスルーとなった。シナプス入力によって入力特異的にシナプスに印「シナプスタグ」が形成され,そのシナプスタグと新規合成可塑性関連物質が相互作用することで長期可塑性が誘導され,入力特異性が担保されるという仮説である。この仮説はシナプスのみならず行動レベルまで観察されるようになった。今回,シナプス可塑性関連プロテアーゼ・ニューロプシンがシナプスタグ形成および行動タグ形成にかかわることを解説する。
  • 田熊 一敞, 吾郷 由希夫, 原 雄大, 長谷部 茂, 中澤 敬信, 橋本 均, 松田 敏夫
    2017 年 28 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/22
    ジャーナル オープンアクセス
    臨床遺伝学的研究から,精神疾患や発達障害などの神経精神疾患は遺伝的要因のみならず環境要因との相互作用により発症することが明らかとされ,近年,環境要因説に基づく疾患動物モデルを用いた研究が数多く見られるようになった。我々は,「発育期の環境要因」が精神・神経機能に及ぼす影響や,広義の意味での環境要因として注目されている「胎生期・周産期の母体環境要因」が出生児の精神発達に及ぼす影響について研究を進めてきた。本稿では,精神疾患の遺伝的要因をもつ「下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド欠損マウス」において見いだした発育期の環境要因が及ぼす影響,ならびに胎生期母体環境仮説にもとづく発達障害モデルである「胎仔期バルプロ酸曝露マウス」において見いだした発症分子機序を紹介し,発育期の環境要因による神経精神疾患の発現制御の可能性について考察する。
  • 中川 伸
    2017 年 28 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/22
    ジャーナル オープンアクセス
    うつ病の病態・治癒過程は発症,急性期症状,反応,寛解,再燃,回復,再発など動的なものであり,神経可塑的な変化が想定しやすい。一方,病的な状態における可塑性とは異なる正常なしなやかさである「レジリエンス」を考慮することは,うつ病の予防,軽症のうつ病の状態を考えるときに有用であると思われる。本稿では生理学的なストレス反応として惹起される視床下部─下垂体─副腎皮質系を中心として,その神経可塑性の動き,破綻,養育環境による変容などを概説する。
  • 橋本 隆紀, 金田 礼三, 坪本 真
    2017 年 28 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/22
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症では,作業記憶,学習,知覚情報処理などの認知機能障害が持続し,予後に大きな影響を与えている。認知機能は,大脳皮質の複数の領域を含む神経ネットワークにおける情報処理とその可塑性により担われている。大脳皮質では,離れた領域間を連絡する興奮性の錐体ニューロンと,領域局所のニューロン活動を調整する抑制性ニューロンが,シナプスを介して神経ネットワークを構成する。パルブアルブミン(parvalbumin,PV)を発現するPVニューロンは,抑制性ニューロンのサブタイプである。個々のPVニューロンは,近傍および離れた領域にある多くの錐体ニューロンから収束的に興奮性シナプスを受け,近傍の数百に上る錐体ニューロンの細胞体に強力な抑制性シナプスを形成しそれらの発火のタイミングを制御する。また,お互いに抑制性シナプスを形成するPVニューロン群は周期的に同期発火する。このような特性により,PVニューロンは周期性を持った神経活動(オシレーション)の形成とその領域間の同期を担っている。オシレーションは神経ネットワークを構成する各領域および領域間における効率的な情報処理を促進する。さらに発達期や学習において,PVニューロンはその活動性を一過性に低下させることで,神経ネットワークを脱抑制し可塑的変化を誘導する。 統合失調症では,死後脳の分子病理学的研究によりPVニューロンの変化を示す所見が多く得られ,生存中の患者から得られるオシレーションの異常所見と一致する。PVニューロンの変化がオシレーションの異常を引き起こし認知機能障害に結びついている可能性は,統合失調症と同様の変化をPVニューロンに遺伝子操作で導入した複数のマウスモデルで検証されている。
  • 池田 匡志
    2017 年 28 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/22
    ジャーナル オープンアクセス
    近年のゲノム医科学の進展により,網羅的に遺伝子多型を解析できる全ゲノム関連研究(genome-wide association study:GWAS)が定着し,精神疾患をはじめとした多くの複雑疾患の疾患感受性遺伝子同定に寄与している。また,この技術は,遺伝的要因で規定される薬剤反応性や副作用出現を予測するための研究,薬理ゲノム学(pharmacogenomics:PGx)でも多くの関連遺伝子を同定し,実臨床への架け橋となっている。 本稿では,気分障害(双極性障害とうつ病)のGWASの結果と,気分障害治療に関連するPGx研究の結果を概説し,今後の方向性を考察する。
  • 池本 桂子
    2017 年 28 巻 1 号 p. 46-48
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/22
    ジャーナル オープンアクセス
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