抄録
統合失調症は人口の約1%が罹患する主要な精神疾患の一つであり,さまざまな手法による研究が行われているが,その病態は未だ解明されていない。未解明である大きな要因として,生体脳から直接細胞を採取して解析できないことが考えられてきた。しかし,iPS細胞の技術が発明されたことにより,生きているヒト神経細胞の観察が現実的に可能となった。統合失調症を対象とした報告もすでになされており,我々のグループでも目下解析中である。iPS細胞や同細胞から神経細胞への分化誘導に関する技術的進歩は目覚ましく,今後の精神疾患の病態解明に大いに寄与すると考えられる。