日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
29 巻 , 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 尾崎 紀夫
    2018 年 29 巻 3 号 p. 91
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 牧之段 学, 岸本 年史
    2018 年 29 巻 3 号 p. 93-97
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)患者における血漿炎症性サイトカインの発現量増加や脳内マイクログリアの活性化といった免疫系異常の報告が相次いでいる。一方,brain-derived neurotrophic factor(BDNF)やneuregulin-1(NRG1)といった神経栄養因子は,ニューロンの生存やシナプス機能に影響を与えるため,統合失調症やASDの病態に関与していると考えられてきた。活性型マイクログリアではBDNFやNRG1の発現量が増加することから,マイクログリアが活性化されているASD患者脳ではマイクログリア由来のBDNFやNRG1が過剰となっている可能性があり,これらの異常な分子機能がASDの病態生理に関与しているかもしれない。
  • 久保 健一郎
    2018 年 29 巻 3 号 p. 98-102
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,自閉スペクトラム症をはじめとする神経発達障害の発症リスクを高める要因として,遺伝要因のみならず環境要因が注目されている。例えば,在胎28週未満の超早産が自閉スペクトラム症の発症リスクを高めることが知られている。環境要因のなかでも,母体への感染とそれに対する母体の免疫反応は,自閉スペクトラム症のみならず統合失調症をはじめとするさまざまな精神・神経疾患の発症にかかわるメカニズムとして注目されている。最近,マウスモデルを用いた研究から,母体の免疫活性化によって,大脳皮質の組織構造に局所的な変化が生じることが報告された。この局所的な変化は,ヒトの自閉スペクトラム症の死後脳で観察された,大脳皮質の「cortical patches」と呼ばれる組織構造の変化に類似しているとされる。我々の作成した神経発達障害のマウスモデルにおいても,組織構造の局所的な変化が大脳皮質の一部に生じることで,離れた脳部位への影響が生じ,これが動物行動の変化に結びつく可能性が示唆された。ただし,大脳皮質の組織構造の局所的な変化がどのように神経発達障害の発症にかかわるのか,そのメカニズムについてはまだ不明な点が多く残っている。
  • 掛山 正心, ベナー 聖子, 藤原 昌也
    2018 年 29 巻 3 号 p. 103-108
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    自閉スペクトラム関連症状を想定してマウス実験で広く用いられている行動テストを概観し,また我々の新たな行動テストについても触れながら,マウスの行動表現型や行動指標が精神医学上,果たしてヒトに外挿できるかどうかについて考察する。これまで,社会的コミュニケーションと社会的相互作用の障害に相当する行動テストとしてはソーシャル・インタラクションテストや超音波発声の多寡が用いられてきた。興味の限局と反復行動については常同運動や反復的毛づくろい行動の頻度,そしてT迷路やモリス水迷路による逆転課題等が一般的である。しかしこれらは,必ずしも研究室間や研究室内で再現性が確保されているわけではないことも指摘がなされつつある。我々は最近,マウスの意識レベルでの行動柔軟性を定量化する行動テスト,競争状態でマウスがみせる行動パターンを定量化する行動テストを開発した。そもそもマウスは,ヒトASD症状で問題となるような高度な社会性行動を発揮しうるのか,そして興味の限局・こだわりの強さといった意識レベルの柔軟性を持ち合わせているのかを考察し,マウスモデルとマウス行動指標の意味を議論する。
  • 山末 英典
    2018 年 29 巻 3 号 p. 109-113
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    社会的コミュニケーションの障害などの自閉スペクトラム症中核症状に対する治療方法は確立されていない。本稿では,オキシトシン経鼻投与の効果を臨床評価に加えてマルチモダリティ脳画像解析による脳機能の変化として評価した医師主導の臨床試験による,この中核症状治療薬の開発過程を概観した。治療開始前のオキシトシン関連遺伝子の情報による治療効果予測の可能性を示す研究成果も含めた。こうした研究成果が活用され,可及的速やかに当事者のための新規治療薬の臨床応用が実現することが望まれる一方で,臨床的に意義の高い効果についての確認,最適な用量や用法の検討,殊に幼少児期における長期投与の安全性など,オキシトシンを自閉スペクトラム症中核症状の治療薬として実用するためには,まだ検討するべき点が多く残されている。そのため,こうした検討事項を踏まえてデザインした医師主導治験を含めた研究計画について,現在進行形で実施している。
  • 有岡 祐子, 久島 周, 森 大輔, 尾崎 紀夫
    2018 年 29 巻 3 号 p. 114-118
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    自閉スペクトラム症(ASD)・統合失調症(SCZ)を対象としたゲノム解析によって,両疾患の発症に強く関与すると考えられるゲノム変異が多数同定されてきた。これらゲノム研究の知見に基づき,ゲノム変異モデル動物も次々と開発・解析されてきている。しかし,モデル動物では患者病態を模倣することに限界もあり,ASD・SCZの病態は未だ明らかにされていない。近年,ヒト(患者)由来の脳を解析できる新たなツールとして注目されているのがiPS細胞である。2010年のレット症候群患者由来iPS細胞を用いた報告を皮切りに,22q11.2欠失などASD・SCZ発症に強く関与するゲノム変異保有患者iPS細胞を用いた研究が急速に広まっている。本稿では,ゲノム解析技術とその知見を基盤として発展するiPS細胞のASD・SCZ研究について,これまでの報告を紹介しつつ,今後の展望について述べる。
  • 豊島 学, 吉川 武男
    2018 年 29 巻 3 号 p. 119-123
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年のiPS細胞技術の進歩により,iPS細胞から神経幹細胞や神経細胞が作製可能となり,患者由来のサンプルを用いて統合失調症のさまざまな病因・病態仮説を検証できるようになった。我々は統合失調症の発症脆弱性基盤として支持されている神経発達障害仮説に注目し,22q11.2の微細欠失を持つ統合失調症患者由来iPS細胞を用いて,神経分化・発達の異常にかかわるマイクロRNA(miRNA)の分子病態について解析した。患者由来の神経幹細胞では,神経細胞への分化効率の異常など神経発達障害を示唆する表現型がみられ,これらの異常は特定のmiRNAやp38の発現変化がかかわっていることが明らかになった。更に,統合失調症患者死後脳においても,神経細胞とアストロサイトのマーカー量比に異常があることが判明し,脳発達期における神経幹細胞の分化効率の微細な変化が,統合失調症の病因の可能性の一つであることが示唆された。
  • 中澤 敬信
    2018 年 29 巻 3 号 p. 124-128
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    自閉スペクトラム症は,社会的相互作用やコミュニケーションの障がい,言葉の発達の遅れ,反復的行動,興味の限局を主な症状とする神経発達障がいである。自閉スペクトラム症の発症割合は世界的に増加傾向にあるが,発症メカニズムや分子病態は不明な点が非常に多く残されている。患者の多くは弧発症例であるため,患者に新たに生じるde novo変異が注目されている。これまでに,およそ5,000程度の自閉スペクトラム症と関連するde novo変異が同定されており,それらは神経系の発達や分化に関連する遺伝子座,シナプス関連遺伝子座,クロマチン関連遺伝子座,転写制御関連遺伝子座に存在するものが多い。最近,高頻度に変異が同定されているCHD8やARID1B,TBR1等の自閉スペクトラム症と関連した機能解析が報告されている。我々は,神経系における機能がほとんど明らかになっていないPOGZに注目し,患者由来iPS細胞やマウスを用いた包括的な研究を実施している。
  • 鳥塚 通弘
    2018 年 29 巻 3 号 p. 129-132
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症は人口の約1%が罹患する主要な精神疾患の一つであり,さまざまな手法による研究が行われているが,その病態は未だ解明されていない。未解明である大きな要因として,生体脳から直接細胞を採取して解析できないことが考えられてきた。しかし,iPS細胞の技術が発明されたことにより,生きているヒト神経細胞の観察が現実的に可能となった。統合失調症を対象とした報告もすでになされており,我々のグループでも目下解析中である。iPS細胞や同細胞から神経細胞への分化誘導に関する技術的進歩は目覚ましく,今後の精神疾患の病態解明に大いに寄与すると考えられる。
  • 岩田 正明
    2018 年 29 巻 3 号 p. 133-134
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
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