2018 年 29 巻 4 号 p. 177-181
本稿ではオメガ3系脂肪酸(特にEPA)の抗炎症作用に焦点を絞り,抗うつ効果との関連について概説した。うつ病の病態メカニズムの一つとして炎症が考えられていること,オメガ3系脂肪酸,特にEPAには抗炎症作用があること,これまでのRCTやそのメタ解析でEPAのうつ病・うつ症状に対する有効性が示されていることから,オメガ3系脂肪酸の抗うつ効果のメカニズムとして抗炎症作用が考えられている。ただ,これまでのRCTは投与量,投与期間などにばらつきがあること,食事から摂取するオメガ3系脂肪酸の量が非常に多いわが国におけるエビデンスがまだ希薄であることなど,現状のエビデンスには限界もある。食事・栄養素を用いたアプローチは副作用の少なさから妊婦や子どもなど幅広い集団に適応可能であり,機序の解明も含めて今後のエビデンスの蓄積と治療・予防への実装が期待される。