日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
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超偏極MRSによる脳エネルギー代謝評価系を用いた精神疾患の病態研究への展望
髙堂 裕平
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 35 巻 3 号 p. 135-140

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抄録
近年,イメージング技術およびグリア研究の進歩により,精神疾患と神経疾患の共通病態メカニズムの一つとして,アストロサイト機能異常および脳エネルギー代謝異常への関心が高まっている。早期アルツハイマー病(AD)や精神疾患患者では,明らかな萎縮のない脳においてポジトロン断層撮像法(PET)でフルオロデオキシグルコース(FDG)の取り込み低下が生じることが知られる。このFDG取り込み低下のメカニズムは神経変性では説明が困難であり,糖エネルギー代謝異常を伴った細胞機能低下が示唆される。病態のさらなる理解にはエネルギー代謝評価が有用となるが,FDG‐PETは代謝評価には適さないため詳細な病態機序は不明であった。本稿では脳エネルギー代謝異常を評価する新規手法として13C同位体を用いた測定手法である超偏極MRSの可能性について述べ,超偏極MRSが難治性脳疾患の治療法開発へのツールとなる道筋を考えたい。
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© 2024 日本生物学的精神医学会
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