日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
うつ病における認知行動療法の効果と脳画像変化─主にfunctional connectivityとdynamic functional connectivityの変化─
片山 奈理子
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 35 巻 4 号 p. 163-167

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抄録
うつ病は罹患率が高くその社会的および経済的な損失は甚大である。近年,脳画像研究の発達が著しく,うつ病の病態解明や治療の新たな可能性を探るべく,さまざまなアプローチが試みられている。わが国でも,AMED国際脳課題「気分障害における寛解と回復に関連した神経回路基盤の解明に資する縦断MRI研究(L/R study)」として大規模な多施設共同脳画像縦断研究が行われ,薬物療法,認知行動療法,電気けいれん療法,反復経頭蓋磁気刺激療法といったうつ病の代表的な治療法の前後での脳MRIデータを収集し,その治療効果やメカニズムの解明に取り組んだ。本稿ではうつ病における認知行動療法の効果と脳画像変化として,主にfunctional connectivityとdynamic functional connectivityの変化に注目して総説する。多様な症状が現れるうつ病の治療において,国際脳の大規模脳画像研究の知見が,脳内変化を想定した効果的な治療法の確立と治療戦略の構築に貢献することを期待する。
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© 2024 日本生物学的精神医学会
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