抄録
本研究は,過疎地域における社会的居場所の円滑な運営方法の検討を目的とした。本調査は,山形県酒田市の
中から,中心市街地,人口集中地区,混住化が進む地域,農村地域の地域包括支援センター職員を対象に半構
造化面接を行った。研究方法は,KJ 法を用いて探索的に検討した。その結果,①地域包括支援センターが地
域住民へ社会的居場所の必要性を説明するとことで,主体性が引き出され,社会的居場所の立ち上げや円滑な
運営が可能になる。②生活支援コーディネーターが地域のストレングスを生かす視点に基づき,地域住民のサ
ポーターや既存の組織と協働することにより社会的居場所の運営が円滑になる。③地域包括支援センターは社
会的居場所の運営支援を通じて地域診断が可能になるため,顕在化,潜在化した問題の把握が可能となる。④
移動困難な地域は,既存の空きスペースを活用することより,社会的居場所の不足を補うことにつながる。以
上,4 つの知見が示された。