高齢者のケアと行動科学
Online ISSN : 2434-0553
Print ISSN : 1880-3474
最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 大庭 輝
    2025 年30 巻 p. 1-
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル フリー
  • 高齢者施設における薬物療法を中心に
    綾仁 信貴
    2025 年30 巻 p. 2-12
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル フリー
    人口の高齢化は世界的な課題であり,我が国の高齢化率は2024 年時点で29.3%と世界で最も高い。人口の高齢化に伴い日常生活にサポートを必要とする高齢者も増加しており高齢者向け居住施設の利用者はこの20年間で約3 倍に増加している。高齢者の多くは複数の慢性疾患に対して薬物療法を受けており,高齢者施設入所者においては,60~80%の入所者がポリファーマシー(5 剤以上の薬剤の併用)の状況にあると報告されている。ポリファーマシーは薬剤性有害事象(Adverse Drug Event, ADE)や薬剤関連エラー(Medication Error, ME),および潜在的に不適切な薬剤(Potentially Inappropriate Medications, PIM)のリスクを増加させることから,高齢者施設における不要なポリファーマシーの解消は医療安全上の重要な課題である。本稿では高齢者施設における薬物療法を中心に,高齢者に対する薬物療法の安全性を高めるための基本的理解を論じるとともに,筆者らが実施中の本領域における研究を紹介する。
  • 小柳 達也, 島田 拓巳, 和久井 久光, 福馬 健一, 堀口 康太
    2025 年30 巻 p. 13-29
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル フリー
    本稿は,「ケアと研究の出会い」という日本老年行動科学会の特色を踏まえながら,地包括ケア政策の現場における実践者と研究者の協働のための人間関係的条件を明らかにする ことを目的としている。地域包括ケア政策の理念の下で展開される生活支援体制整備事業を通じて得られた,実践者2 名が経験した研究者との協働実践事例をもとに,理論的な検討を行った。その結果,実践者と研究者の協働のためには制度的な枠組みだけでなく,遠慮を乗り越え対等な人間関係を築くための対話の重要性を両者が理解し,その対話を出会いの段階から意識的に実行し,相互の役割理解を確かめながら,信頼関係を深めていくことが効果的であると示唆された。さらに,社会福祉法人の「地域における公益的な取組」が参照されつつ, Evidence-Practice Gap を補う一方法としての有機的な協働の可能性についても示唆された。
  • 山崎 孝浩
    2025 年30 巻 p. 30-36
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル フリー
    多くのBPSD(認知症の行動・心理症状)は,家族や介護者の関わり方によって増悪・軽快しうる。BPSD の予防には,軽度認知障害(MCI)の段階から家族が病状を正しく理解し,本人に安心感を与えるような関わり方へと行動を変えていくことが重要である。そのために支援者は,家族の受容という心理的プロセスにも配慮し, それぞれの段階に応じた支援を行う必要がある。また, いったん繰り返されるようになったBPSD に対しては,行動の前後の状況変化に注目することで,薬物療法と非薬物療法を使い分けるアプローチを提案した。アルツハイマー病に対する疾患修飾薬の登場により,医療がMCI 期から積極的に関与できる環境が整いつつある今,BPSD を「起こさせない」「繰り返させない」ための支援のあり方が,あらためて問い直されている。
  • 野口 代
    2025 年30 巻 p. 37-45
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル フリー
    認知症の人の家族介護者のニーズを的確に把握し,介護者や要介護者の属性・状況に応じた支援を動的に組み合わせる介入や政策が急務といえる。このことを踏まえ,第26 回大会において,『認知症の家族介護者の支援ニーズに応じた「きめの細かいケア」を考える』と題してワークショップを開催した。本稿では,ワークショップで話題提供した認知症の家族介護者の支援ニーズとそれに基づく家族支援について,ワークショップ後に改めて整理した情報や解釈を加えて論じた。家族介護者への支援は画一的に分類するのではなく,介護者と要介護者の続柄,要介護者の年齢,介護負担感等に応じて調整する必要がある。特に介護負担の大きい認知症の行動・心理症状(BPSD)への対応に関しては,家族が日々の生活場面で柔軟に使えるマイクロ・スキルに関する情報提供や更なる研究が重要となることを示した。
  • 山中 克夫
    2025 年30 巻 p. 46-53
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル フリー
    「共生」は認知症基本法で重要なキーワードである。本稿ではまず「共生」には認知症の人(他者)と共に生きることと,後半生の岐路として自らが認知症と共に生きることの2 つがあり,認知症や軽度認知障害の罹病率推計から,後者を念頭に人生設計や地域づくりを考えるべきであると論じた。そのうえで重要なパラダイムと考えられる認知リハビリテーションの定義について述べ,その考えに立脚した心理社会的支援モデルを提案した。モデルは,①本人への支援,②家族への支援,③対人援助職への支援,④住まいと地域づくりからなり,最終的な支援目的は本人・家族・支える対人援助職全体の生活の質の向上を促すことである。この枠組みで認知症に関するシームレスな支援を行っていく場合,我が国の制度では不十分な点が少なくない。それについて,本人への支援のうち,「認知機能の活性化・維持の支援」の点から論じた。
  • 古塩 卓也, 松崎 正博, 成本 迅
    2025 年30 巻 p. 54-60
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル フリー
    本論文では,ChatGPT により,認知症高齢者との対話を生成し,その有用性と課題を検討した。軽度認知障害(MCI)から中等度認知症までの高齢者と孫娘の会話,認知症でない高齢者と共感的対応の訪問看護師と非共感的対応の訪問看護師との対話シナリオを作成し,ChatGPT により会話を生成した。さらに,その作成した会話について専門家による評価を行った。その結果,ChatGPT は認知症の進行度に応じた応答変化をある程度再現できた。また,支援者側の対応についての共感性の程度についてもある程度差異をつけることができることが示唆された。今後,教育や支援に応用できる可能性が示唆されたが,一方で,実用化に向けた課題として,個人情報の保護,専門家の監修,倫理的・法的検討の必要性があることが明らかとなった。
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