身体活動は高齢期の心身の健康に強く関連するため,習慣的な身体活動の実施が推奨されている。特に,75
歳以上の高齢者にとって身体活動は健康寿命延伸のために重要であるが,身体活動ガイドラインの推奨を達成
している割合は低迷している。本研究は,ポジティブディビアンス(ポジデビ)手法に基づき,世界保健機関
が定める身体活動ガイドラインを超えて身体活動を実施している75 歳以上の高齢者をポジデビとし,習慣的
な身体活動を促進しうる日常生活行動を明らかにすることを目的に,75 歳から94 歳の計15 名にインタビュ
ー調査を実施した。テーマ分析の結果,22 のコードを含む8 つのテーマが抽出された。8 つのテーマは,【身
体活動時間を確保している】,【身体活動量を把握している】,【体への効果を実感できる方法を持っている】,
【自分らしい方法を取り入れている】,【身体活動中に運動以外の楽しみ・目的を持っている】,【身体活動の場
で人と交流している】,【人に身体活動の話をしている】,【地域の環境資源を活用している】であった。本研究
結果は,高齢者の日常生活行動の多様性を包含しながらも,特別な施設や資金がなくとも自分の住む地域内で
実践できる行動例を示した。しかし,本研究結果をポジデビ行動と断定するには,今後更なる検証が必要であ
る。
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