高齢者のケアと行動科学
Online ISSN : 2434-0553
Print ISSN : 1880-3474
伴奏追従機能付き「だれでもピアノ」の高齢者向けレッスンプログラムの開発と可能性の探索
佐藤 宏美
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 27 巻 p. 82-97

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抄録

人生の後半の生活の質の維持向上に,創造的音楽活動への参加の有効性が確認されている。一方で,楽器演奏などの経験の浅い高齢者が,音楽活動に参加する際の障壁の大きさが課題としてあげられる。そこで本研究では,伴奏追随機能付きの楽器「だれもピアノ」を用いて,高齢者のためのレッスンプログラムを開発し,実際に参加者を募りその有効性を探索的に確認することとした。6人の高齢者を対象に全8回のレッスンシリーズを実施し,気分の変化と日常生活における変化を質問紙調査により把握した。その結果,レッスンシリーズ参加前後の気分の「活性度」および音楽活動や対人交流に,前向きな影響が示された。これらより,「だれでもピアノ」が短期間で高齢者の自律性と有能感を高めうる有効なツールである可能性が示唆された。

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© 2022 日本老年行動科学会
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