臨床化学
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肝疾患における好中球活性酸素産生能の検討
徳永 賢治宍野 宏治村瀬 光春武内 望篠原 力雄石黒 伊三雄
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1990 年 19 巻 4 号 p. 381-388

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抄録

肝障害と活性酸素産生能の関係を検討する目的で各種肝疾患患者の好中球活性酸素産生能を測定した。測定方法はフローサイトメトリを用いてBassらの方法に準じて行い, DCFHが生成した活性酸素により酸化されて生じた蛍光強度を測定した。静止状態での肝疾患患者の蛍光強度は, 急性肝炎, ルポイド肝炎, 肝硬変で健常者よりも有意に高値を示した。一方PMA刺激では健常者と差がなかった。また, 静止状態での急性肝炎患者の蛍光強度の経時変化はASTと平行して変動することが確認された。さらに, 急性肝炎患者血清と健常者血液を37℃でインキュベーションすると, 健常者好中球の活性酸素産生能が促進され蛍光強度が増加した。他の肝障害マーカーであるAST, SODと有意な相関性が得られた。これらの結果より肝障害においては, 好中球由来の活性酸素の増加による細胞外からの細胞障害もその増悪因子となりうることが示唆された。

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© 日本臨床化学会
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