臨床化学
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チオバルビツール酸法, Fe3+-チオバルビツール酸法およびヘモグロビン-メチレンブルー法による過酸化脂質値に関する研究
篠原 力雄徳永 賢治太田 好次浦田 武義石黒 伊三雄
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1991 年 20 巻 1 号 p. 18-23

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抄録

標品のリノール酸, リノレン酸を100℃ および150℃ で加熱し, 経時的に生成される過酸化脂質(LPO) をTBA法, Fe3+-TBA法およびHb-MB法の3種の方法で測定した。リノール酸およびリレノン酸を100℃下で加熱した場合, Hb-MB法によるLPO値の増加がとくに著しく約40μmol/mlまで増加したが, Fe3+-TBA法によるLPO値は11-16μmol/mlまで増加することを認めた。一方, TBA法によるリノール酸の加熱前値は著しく低く, 加熱によっても増加しなかったが, リノレン酸では加熱5時間後では約2倍に増加した。リノール酸およびリノレン酸を150℃ 下で加熱すると, Hb-MB法によって測定されるLPO値は, リノール酸では経時的に減少, リノレン酸では1時間ま で増加したが以後減少し, 不安定であることが示唆された。一方, Fe3+-TBA法によるLPO値は, 加熱4時間後まで増加し, 前値に比し3-5倍の増加を認めた。しかし, TBA法によるLPO値は, 加熱によってもほとんど変化しなかった。

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