抄録
われわれは慢性血液透析患者の金属の体内動態を知るため, 血清中のアルミニウムと鉄の同時測定法を検討し, 高速液体クロマトグラフィを用いる高感度で選択性の高い方法を開発した。方法は, 血清を酸加水分解および除タンパクすることで遊離したアルミニウムと鉄を, 2, 2'-ジヒドロキシァゾベンゼンを用いてキレートとし, このキレ-ト反応液100μlを注入し, ODSカラムを用いてイオン対逆相分配モードでアルミニウムと鉄などを分離後, 吸光検出した。本法の再現性, 回収率および従来法との相関はいずれも良好であり, 高選択的かつ簡便な血清アルミニウムと鉄の同時測定が可能であった。また, 慢性血液透析患者においては高アルミニウム, 鉄欠乏の傾向にあることと血清アルミニウムと血清鉄が負の相関傾向にあることが確認された。