臨床化学
Online ISSN : 2187-4077
Print ISSN : 0370-5633
ISSN-L : 0370-5633
新生児ろ紙血中17α-Hydroxyprogesteroneの酵素免疫測定法における免疫反応温度の影響
米澤 彰二小川 保今井 昌雄神戸川 明
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 21 巻 2 号 p. 138-142

詳細
抄録
新生児を対象とした乾燥ろ紙血液 (ろ紙血) による先天性副腎過形成症のマススクリーニングが数年前より全国で行われている。われわれはその検査に用いられているろ紙血中17α-hydroxyprogesterone (17-OH-Δ4P) の酵素免疫測定法 (ELISA: enzyme-linked immunosorbent assay) で, 免疫反応時の温度が測定結果に著しい影響を与えることを見出した。同一検体の測定で免疫反応温度が高い場合と低い場合とを比較すると高い場合に測定値が低くなった。これは国内で市販されている測定キット, およびわれわれが作成した抗体を用いたろ紙血の測定系をおいて共通して観察される現象であった。免疫交差反応性のあるステロイドのうち, 新生児血液中で高値であり測定に実質的な影響の大きい17α-hydroxypregnenolone-3-sulfate (17-OH-Δ5P-S) を添加したろ紙血で調ベると, 高い温度での免疫反応時に測定値が低値であった。これからマススクリーニングの検査には温度条件の正確な設定が不可欠であることを示した。
著者関連情報
© 日本臨床化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top