臨床化学
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アポリポタンパクB遺伝子3'可変領域のDNA多型と高脂血症との関連
多幡 佳子三木 哲郎宮崎 恵美子荻原 俊男熊原 雄一
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1992 年 21 巻 2 号 p. 143-148

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抄録
アポリポタンパクB (apoB) は, 低比重リポタンパク (LDL) や超低比重リポタンパク (VLDL) の主要構成タンパクであるため, コレステロールとトリグリセリド代謝に関与している。すでに, apoB遺伝子の変異によるコレステロール, トリグリセリド代謝異常に関する多くの報告がある。apoB遺伝子の3'側には, 14-16塩基対 (bp) の配列を1単位として, 29-57回の繰り返し単位よりなるvariable number of tandem repeat (VNTR) が存在する。この繰り返し配列の両端のプライマーを合成し, polymerase chain reaction (PCR) でVNTR領域を遺伝子増幅すると, バンドの多型性を対立遺伝子として区別できる。今回, このapoB遺伝子の3'領域のDNA多型の遺伝子頻度と脂質代謝異常である高コレステロール血症, 高トリグリセリド血症, 高LDL血症との関連について検討したが, これを支持する有意な結果は得られなかった。したがって, apoB遺伝子3'側VNTR領域は, 高脂血症の発症に関与していないと考えられた。
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