臨床化学
Online ISSN : 2187-4077
Print ISSN : 0370-5633
ISSN-L : 0370-5633
透析膜被覆電極を用いるヒト血清中のコリンエステラーゼ活性の測定
木下 英明池田 篤治臼井 敏明
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 21 巻 2 号 p. 92-96

詳細
抄録
電極に吸着して, 電極反応を妨害するタンパク質の影響を受けない, 透析膜を被覆したグラファイト電極を作成し, ブチリルチオコリンを基質にしてコリンエステラーゼ活性の測定を試みた。pH7.3の緩衝液では, チオコリンは100mVより, ブチリルチオコリンは350mVより正の電位で酸化されはじめた。そこで, 基質は酸化されず, チオコリンによる酸化電流が限界値に近づく 300mVを測定電位に設定した。緩衝液2.5mlに標準酵素あるいは血清を20pl添加すると尿酸などによる電流値の増加がみられ, それが一定になったのち, 基質を0.2mmol/lになるように添加すると, 電流値は時間に対して直線的に増大し, その傾きは添加酵素量に比例した。基質添加後1-3分間の電流値変化からコリンエステラ-ゼ活性を測定した。本法による測定値と酵素を用いる比色法による測定値の相関係数は0.998であった。
著者関連情報
© 日本臨床化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top