臨床化学
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17-ヒドロキシプロゲステロンの酵素免疫測定法における交差反応物質の同定, 確認
小林 吉晴多河 典子西口 嘉乃山入 高志長谷 豊宮井 潔渡邊 富久子
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1992 年 21 巻 2 号 p. 97-105

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抄録
ステロイドの21-ヒドロキシラ-ゼ欠損症のマススクリーニングのために行われている, 17-ヒドロキシプロゲステロンの酵素免疫測定法 (EIA) の問題点である疑陽性となる原因は, 未熟児などの血清に抗体と反応する物質が存在するためではないかと考えられている。われわれは, この物質を同定するため未熟児血清からステロイドを抽出し高速液体クロマトグラフィ (HPLC) で分離, 分取した各フラクションについてEIAを行い, 抗体と反応する分画の検索を行った。
その結果, ステロイド標品の保持時間から17-ヒドロキシプレグネノロン, 17-ヒドロキシプレグネノロン3-サルフェート, プレグネノロン3-サルフェートが交差反応していることが明らかとなった。
さらに, 保持時間からは同定できなかった抗体と反応した分画についてGC/MSによる分析を行ったところ, 16-デヒドロプレグネノロン3-サルフェートと同定された。本ステロイドが血中に存在するという報告は現在まで見当たらず, 新規のステロイドと考えられる。
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© 日本臨床化学会
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