臨床化学
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肝疾患検体にみられるCA19-9EIA法偽陽性とその分子量に関する検討
新井 智子塚田 敏彦中山 年正
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キーワード: CA19-9, 偽陽性, 分子量, HPLC
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1993 年 22 巻 4 号 p. 238-243

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抄録

従来われわれは, 肝疾患患者血清では酵素免疫測定 (EIA) 法によるCA19-9値がラジオイムノアッセイ (RIA) 法のそれに比較して高値に解離することを報告してきた。本報の内容は以下のとおりである。
1) 一定の基準で肝疾患患者血清をスクリーニングしたところ, 2倍以上値が解離する例が48件中19件見い出された。
2) これらの解離検体のCA19-9EIA値は100-500U/mlの比較的軽度な上昇であり, またその患者の疾患名は慢性肝炎または肝硬変であった。
3) 高速液体ゲルクロマトグラフィ (HPLC) によって求めたCA19-9の分子サイズは, 対照の癌患者検体では1000kDであるのに対し, 解離検体の多くは1300-1400kDの高分子成分と400-800kDの低分子成分の2分画がみられた。
4) HPLC法の高分子量領域の分解能を考慮すると, EIA法が高値となるのは上記の低分子成分がこの方法で反応するためではないかと思われた。

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