臨床化学
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キャピラリー電気泳動法によるヒト血清蛋白の分離と同定
三浦 雅一宇治 義則畠 啓視岡部 紘明
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1994 年 23 巻 1 号 p. 32-37

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抄録

われわれはキャピラリー電気泳動 (CE) でヒト血清蛋白の分析を試みた。キャピラリーカラムは未処理フユーズドシリカキャピラリー20μm (i.d.)×有効長20cmを使用した。検出波長は200nmで, 泳動温度は23℃ で行った。ヒト血清試料を20mM PBS (pH10.0) で11倍に希釈した試料を10秒間圧挿入した後, 電解液として150mMホウ酸緩衝液 (pH10.0) を用い, 6.5分間電気泳動を行った。ヒト血清試料は5分画に分離され, セルロースアセテート膜電気泳動での分画と同一パターンを示した。また, CEでは血清試料を10ピークに分離することができた。これらのピークはmigration timeの速いピークより免疫グロブリン, C3, トランスフェリン, α2マクログロブリン, ハプトグロビン, α1アンチトリプシン, アルブミン, プレアルブミンの蛋白成分であることが同定された。さらに, 各種疾患でのCEの泳動パターンはセルロースアセテート膜電気泳動での結果と類似していた。これらの結果より, CEシステムは臨床診断に有用な手法であり, 今後日常検査に利用できるものと思われる.

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© 日本臨床化学会
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