抄録
免疫異常を示す疾患として慢性関節リウマチ (RA) は, 病因的本態に不明の点が多い。RAの関節には多数の好中球が浸潤し, しかも活性酸素産生能が元進している。好中球が活性化されると活性酸素および細胞内のエラスターゼ, ミエロペルオキシダーゼが放出されることが考えられるため, RA患者でのこれらの酵素活性を測定した。血漿エラスターゼ量はRA患者では変形性関節炎患者 (OA) よりも有意 (ρ<0.001) に高値であった。関節液中ミエロペルオキシダーゼ活性値はグアヤコール法を用いてfixed-timerateassayで測定し, RA患者はOA患者よりも有意 (p<0.02) に高値であった。これらの結果からRA患者では好中球の活性化により活性酸素, 細胞内酵素が放出されて, それらは互いに反応して組織障害に相乗的に作用し, RAの病態を悪化するものと推測した。