臨床化学
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pH指示薬のタンパク誤差現象に見られる無機塩類の作用における規則性
鈴木 優治
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1995 年 24 巻 1 号 p. 12-19

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抄録
タンパク質の定量に広く応用されているpH指示薬 (プロムフェノールブルー, プロムクレゾールグリーン) のタンパク誤差現象に対する電解質の作用について検討した。その結果, タンパク誤差現象に基づく吸光度変化は電解質 (NaF, NaC目, NaBr, NaI, KF, KCI, KBr, KI, NH4CI, Na2SO4,(NH4) 2SO4, MgSO4) の添加により減少したが, 非電解質のグルコースおよび尿素の添加では不変であった。タンパク誤差現象に対する電離性物質の影響は陰イオンによると考えられ, 陰イオンが共通であれば, 無機塩の種類に関係なく同じであった。また, この現象に対する陰イオンの影響は発色試薬のpHが高くなるほど, 陰イオン半径が減少するほど小さくなり, pH指示薬濃度が高いほど大きくなることがわかった。これらの結果はタンパク誤差現象がタンパク質分子の正荷電部位と解離型色素陰イオン間の相互作用により起こるとの仮定の下で予測された結果と定性的に一致していた。
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